郵政上場が与える市場へのインパクト – 需給悪化
郵政3社がIPOによって市場から吸収する金額は約1兆4000億円になります。
東証一部上場企業の時価総額合計が2015/9/18現在で約530兆円、東証全体の出来高が約2兆円ですので、この1兆4000億円という吸収金額は非常にインパクトがあります。
また、日本郵政、かんぽ生命保険、ゆうちょ銀行3社合計の時価総額は12兆円程度と見込まれ、東証一部上場企業の時価総額の内、2%近くを3社で占める計算です。
このインパクトは非常に大きく市場全体で需給悪化を招くことが懸念されます。
1兆4000億円はどこから捻出されるか?
まず、IPO時点で吸収される1兆4000億円はどこから捻出されるのでしょうか?
考えられるのは主に以下の2パターンです。
1)個人投資家が郵政上場を機会に銀行預金から投資へシフトする
2)個人投資家も機関投資家も、他の日本株を売却した資金で郵政3社の株を購入する
もちろん、NISA活用も含めて国も証券会社も1)を狙っていますが、1)だけでは到底足りませんので、間違いなく2)のパターンが発生します。
特に機関投資家の場合、分散投資のためにポートフォリオを組んでいますので、債券割合を減らして株式割合を増やす、アメリカ株の割合を減らして日本株の割合を増やす、などのポートフォリオ組み替えを行うよりも、日本株の中で保有する銘柄を組み替える方が多いと考えられます。
これが、郵政上場が市場へ与えるインパクト(需給悪化)第一弾です。
年末にはTOPIXに組み入れ
そして郵政上場のインパクト第二弾は、年末にやってきます。これも需給悪化です。
郵政3社は東証一部に11月に上場するため、TOPIX(東証株価指数)には12月末に正式採用され、TOPIX連動を目指す投資信託などがこのタイミングで広く他銘柄を売って日本郵政・かんぽ生命保険・ゆうちょ銀行の3社を買うことになります。
#各投資信託で運用資産は限られているので、その中で郵政3社をポートフォリオに組み入れてTOPIX連動を図るには、その他の銘柄を売却するしかありません。
このため年末には広く売りが入ります。
関連記事:郵政3社がTOPIXに採用されるタイミング
関連記事:郵政3社のTOPIX採用によるインデックス買い結果
日経平均なども影響を受けやすい
上述の通り、IPOとTOPIX採用で幅広い銘柄に売り圧力が入ると見込まれますが、同時に日経平均株価などの指数も影響を受けやすいと言えます。
日経平均株価は日本経済新聞社が選定した225銘柄の株価から算出されており、一年に一回、構成銘柄の入れ替えが行われます。
しかし、今年の構成銘柄入れ替えは10/1に行われることが決まっており、DeNAと長谷工が新たに採用されます。
そのため、郵政3社は当面、TOPIXには採用されているものの、日経平均には採用されていない状態が続きます。
TOPIX連動のために売られる銘柄の中には当然ながら日経平均構成銘柄も含まれますが、売られた資金は郵政3社に流入するものの、郵政3社は日経平均に採用されていないため、日経平均株価は下がるだけです。
日経平均連動の投資信託や流行りのレバレッジ型ETFなどは注意が必要です。
どの程度、各銘柄へ売り圧力が入るのか分かりませんが、大きく需給が変わると「分かっている」イベントですので、しっかりと運用方針を立てて挑みましょう。
関連記事:
・郵政3社がTOPIXに採用されるタイミング
・郵政3社のTOPIX採用によるインデックス買い結果
・日本郵政・かんぽ生命保険・ゆうちょ銀行を売却して別の高配当銘柄へ
・日本郵政の自社株買いの結果(株価への影響)
・日経平均銘柄入れ替えのイベント投資 – インデックス買い
・日経平均株価の歪な算出方法(みなし額面)
・インデックス投資:投資信託とETFの違い
・通貨分散で海外分散投資
・マネーフォワードのセキュリティは万全か?
・郵政3社の抽選倍率 – エイチ・エス証券公表(外部リンク)
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