通貨分散で海外分散投資

 

中長期的な資産運用を考える上で欠かせない要素が「通貨分散」です。

日常的に様々なニュースで円高・円安などの為替情報が報道されていますが、資産運用・投資の上で「自分には関係ない」と考えていないでしょうか?

もしくは、少し踏み込んで考えても
・円安に進むと輸出関連銘柄が上がる
・円安に進み過ぎると輸入コスト増で歪みが懸念される
・円高に進むとインバウンド需要が減退する
などのシナリオを想定した国内株式や業界特化ETFの売買でしょうか。

しかしながら、多くの方が「日本円」をベースに資産運用・投資を考えていないでしょうか?

つまり「投資が全て円建て」ということです。

「円建て資産」という発想

恐らく日本人の多くが「円」でしか自身の資産を捉えていないと思います。

しかしながら、海外旅行などを行うと分かりますが、1ドル=80円台の円高の時期と1ドル=120円台の円安の時期では、宿泊費や食費、その他ショッピング代がまったく変わってしまいます。

これは、円安が進むと「世界の中では自分の円建て資産が目減りしている」ことを意味します。

また、この円安による資産目減り効果は、いわゆる海外ブランド物の販売価格が値上がりすることでも感じ取れます。(自分がよく購入する海外ブランドの紳士靴はここ数年で20%以上値上がりしました。)

当然ながら経済はグローバル化しており、いくら日本円で資産が増えても、日本円の価値が低下すれば実質的に資産が目減りするということです。

「円建て」と「外貨建て」2つの海外分散投資

では「海外分散投資」も行えば良いのか?というと、一点、注意が必要です。

それは、「海外分散投資」には2つの手法があります。

一つは円建ての海外分散投資、もう一つは外貨建ての海外分散投資です。

何が違うのか?

円建ての海外分散投資

例えば、2015年7月8日付けの日経マネーで、過去6カ月間の資金純流入額ランキング1位の公募投資信託として取り上げられた岡三証券の「アジア・オセアニア好配当成長株オープン」という投資信託があります。
#出典:日経マネーの記事:「アジア・オセアニア高配当」が7位から首位に(外部リンク)

これは、アジア・オセアニア地域(香港、台湾、中国、インド、シンガポール、オーストラリアなど)の株式を対象に運用される投資信託です。(実際には、中国、香港、オーストラリア銘柄の組み入れ比率が高いようです)

#関連記事:アジア・オセアニア好配当成長株オープンの投資先は香港・オーストラリア・台湾・韓国ばかり

この投資信託を購入することでアジア・オセアニアへの投資が行えるので、日本株や日経平均連動のインデックス型投資信託、日本国債などと組み合わせることで、運用資産の海外分散が可能です。

しかしながら、注意が必要なのは、この投資信託「アジア・オセアニア好配当成長株オープン」は円で決済する点です。つまり、投資信託を購入するのも解約(売却)するのも、日本円で決済されます。

仮に購入時が円安で、売却時が円高の場合、投資信託としての運用成績云々ではなく為替変動によって損が出てしまう可能性があります。

これが円建てでの海外分散投資の限界です。

FinTechで注目のロボアドバイザー「THEO」も海外ETFへの投資のため、為替リスクで運用パフォーマンスがマイナスになってしまったことは「ロボアドは為替リスクに要注意 – 円高で大損」に記載しました。THEOについて詳しくは「THEO(テオ) – ロボアドバイザー紹介」(外部サイト)で紹介されています。

#なお、為替変動リスク対策として「為替ヘッジ付き」の投資信託も存在します。ただし、一般的に信託報酬(=ランニングコスト)が高い傾向にあります。

#投資信託の場合、基準価額が円建てで示されるので、基本的に為替レートの影響は常に反映済みで、一見分かりにくい側面があります。

外貨建ての海外分散投資

外貨建ての海外分散投資とは、そのままの意味で「外貨で資産運用する」ことです。

先述の「円建て」の場合、いくら海外分散を行っても、最終的に全て為替レートを通して「日本円で資産運用している」ことになります。

これに対して「外貨建て」であれば「外貨で資産運用する」ことになります。

例えば、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している上場投資信託(ETF)である「iシェアーズ MSCI パシフィック(除く日本)ETF」は、投資対象がオーストラリア、香港、シンガポール、ニュージーランドとなるETFです。

先述の「アジア・オセアニア好配当成長株オープン」と投資先としては似ています。(中国が対象外というのは大きな違いですが)

ただ、この「iシェアーズ MSCI パシフィック(除く日本)ETF」は、先述の通りニューヨーク証券取引所に上場されている海外ETFであり「米ドル建てでの売買」になります。

分配金(配当に相当)も米ドルです。

つまり、資産運用が完全に米ドルで行われるということです。

・米ドルで当該ETFを購入
・分配金も米ドルで受け取る
・売却時も米ドルを受け取る
ことになります。

分配金や売却で得られた米ドルを日本円にするか否かは自己判断です。引き続き米ドルのまま別のETFや個別株を購入しても良いですし、米ドル建てのMMFで安定した利回り(米ドルで配当が得られる)を得ても良いですし、為替レートが大きく円安に振れていれば円に変換するのも手です。

「外貨建て」の注意点

なお「外貨建て」という言葉にも1点、注意が必要です。

それは外貨建て債券の償還金や配当金が「円貨決済」か「外貨決済」かです。

多くの証券会社では、償還金や配当金を外貨で受け取るか円で受け取るかを選択可能です。この際、外貨で受け取る外貨決済サービスを利用しないと償還時の為替レートで円に換算されてしまいます。

外貨建て債券の場合は、償還金や配当金を円で受け取るのか、その外貨で受け取るのか、しっかり確認しないと意図と異なる資産運用になってしまう可能性があります。

海外分散投資としての通貨分散

日本の景気・市場が悪くなった際のリスクヘッジとして、日本株や日本RIETなど日本国内だけでなく、海外にも分散投資するように勧められますが、上述の通り、
・円建てで海外分散しているのか
・外貨建てで海外分散しているのか
この点をしっかりと意識することが必要です。

つまり、投資という観点では、日本円を持っていること自体、日本円に投資しているというポジションを取っているのです。(もちろん、日本で生活する上で日本円を一定額保有する必要はありますが)

日本円の価値が上がるのか、下がるのか、為替レート次第で円建て資産の価値はグローバルで見ると変動します。

そのリスクに対応するために外貨建て資産を持ち運用する通貨分散が重要になります。

なお、通貨分散を行うための外貨建て資産運用方法は、
・FX
・外貨預金
・外貨建てMMF
・海外株式(ETF含む)
・外貨建て債券
などがあげられます。

FXと外貨預金

FXというと「レバレッジを効かせたハイリスクハイリターン投資」というイメージが強いですが、為替に投資する場合、外貨預金よりも為替手数料(円と外貨変換の手数料)が段違いに安いため、有効な投資手法です。(レバレッジを効かせなければリスクは抑えられます)
円と米ドルの為替手数料の場合、三菱東京UFJ銀行の外貨預金のインターネットバンキングでは円→米ドル、米ドル→円ともに「25銭」が必要です。対して、SBI FXトレードでは「0.27銭〜0.58銭」、DMM.com証券では「0.3銭」です。桁が2つも違います。

◎参考記事:FXは外貨預金よりメリットが一杯

海外株式(ETF含む)

海外株式へ投資するには、楽天証券がオススメです。2015年6月22日現在で取扱海外ETFが333本と国内最多のため、海外ETF投資の選択肢が豊富です。

なお、米国株式への投資で手数料を重視する場合はマネックス証券がオススメです。
下図はマネックス証券のサイトに掲載されている図ですが、楽天証券、SBI証券より手数料が安くなっています。(米国ETFの取扱本数も200本以上あります)

マネックス証券、楽天証券、SBI証券の米国株式取引手数料の比較

これを機会に海外分散投資に通貨分散という視点を入れて頂ければと思います。

関連記事:
FXは外貨預金よりメリットが一杯
インデックス投資:投資信託とETFの違い
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