個人事業主への支払に源泉徴収は必要か?

 

「個人事業主への支払に源泉徴収は必要か?」と書きましたが、個人事業主の立場からは「自分への報酬支払は源泉徴収される必要があるのか?」です。

結論から書くと、業務によります。

つまり、必ずしも個人事業主だからと言って源泉徴収が必要なわけではありません。

具体的には、国税庁が、支払元が源泉徴収すべき対象を定義しています。

国税庁が定める源泉徴収が必要なケース

以下の通りです。

(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲

イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。

ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金

ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金

ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金

チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

出典:源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

また、平成26年の源泉徴収の仕組みや内容を理解するために国税庁が公開している「平成26年版 源泉徴収のあらまし」の「報酬・料金等の源泉徴収事務(PDF)」でさらに細かく規程されています。

例えば、フリーランスのエンジニアの場合、該当しないと考えられます。

該当しそうな項目を敢えて探すと「技術士又は技術士補の業務に関する報酬・料金」が可能性がありますが、以下の定義に該当するとは考えづらいためです。

技術士又は技術士補の資格を有しないで科学技術(人文科学だけを対象とするものを除きます。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う人のその業務に関する報酬・料金

一方で、Webデザイナーのデザイン料については源泉徴収が必要と考えられます。

こちらは、所得税法204条一項に「デザイン料」と規程されているためです。

個人事業主視点での源泉徴収

まず、前提として、源泉徴収の有無に関わらず最終的な納税額に変わりはありません。 

その上で、源泉徴収を受ける場合、報酬の約10%(特別復興税が加わり現在は10.21%)が差し引かれて入金されることになります。これが一年間続くと、年間で約一月分です。

つまり、それだけキャッシュフローが悪くなってしまいます。

上述の支払元が源泉徴収を行う義務が発生する場合は別として、支払元に義務が生じない場合にも源泉徴収を受けている場合、それは丸々キャッシュフローの悪化と言えます。

#くどいですが、最終的な納税額は変わりません。確定申告で還付なども含め帳尻が合わされます。
#また、支払元に源泉徴収義務が発生する場合は別問題です。

個人事業主の方は、是非一度、源泉徴収が必要な業務なのか?をご確認頂き、その上でクライアントと相談することをオススメします。源泉徴収が必要か否かを確認しても自信がない場合は、税務署の所得税担当に電話して確認してしまいましょう!ちゃんと答えてくれます。

少なくとも私は、東証一部上場企業と個人事業主としての取引がありますが、源泉徴収を受けていません。「個人事業主=源泉徴収を受ける」ではありません。ケースバイケースです。そして、そのケースは所得税法、国税庁が定めています。

ただでさえ、月末締めの翌々月末払いなどの支払サイクルの取引もある中、キャッシュフロー改善は意識しておかないと、「受けたい案件」があっても納期・支払サイクル等の関係でキャッシュアウトが予想され受注出来ない、なんて事もあり得るのではないでしょうか。

あれ、もしかして、と思われた方は是非一度、ご確認下さいませ。

#上記で例示した業務も含め、源泉徴収の必要性有無については、当方では責任を負いかねますため、最終的には税務署にご確認ください。


そして、この源泉徴収が原因で確定申告につまずく事態が発生中です。具体的には、会計ソフトの源泉徴収税額と支払調書の源泉徴収税額に差が発生しています。詳細はリンク先の記事でご覧下さい。

会計ソフトと支払調書で源泉徴収税額に差異が発生する場合の確定申告について国税局に質問して回答得ました

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