無理のある展開 – 黒田長政と糸の離縁(大河ドラマ「軍師官兵衛」)
大河ドラマ「軍師官兵衛」において、黒田長政と正妻糸(いと)との離縁について描かれていますが、展開に随分と無理がある!
糸は、羽柴秀吉(豊臣秀吉)の昔からの家臣である蜂須賀正勝(通称、小六)の娘です。秀吉重臣である蜂須賀家との婚姻です。
ドラマ内では、糸が黒田長政の弟である熊之介が勝手に朝鮮へ行くのを止められず、熊之介が亡くなり黒田家の男子が一人減った中、糸が生んだ子は娘だったことで自分を責めていき、(ノイローゼになって)自分から離縁するよう長政に願い出たという展開で描かれてます。その後、徳川家康の婚姻政策によって、家康養女の栄が長政に嫁いでいます。
確かに、長政と糸は1584年に婚姻してから、その後1597年に初めて子どもが生まれて(長女の菊)いることから、当時の概念としては、非常に肩身が狭かった・プレッシャーを感じていたであろうことは予想されます。嫁いで10年以上経っても世継ぎとなるべき男子を生んでおらず、13年目でやっと生まれた子が男子でなかった時の落胆はあったでしょう。
しかしながら、黒田家と蜂須賀家は、この長政と糸の離縁がきっかけで江戸時代中期(1727年)まで「不通大名」であったと言われています。
不通大名とは、「家」として不仲な大名同士の関係を指しており、一代限りの不仲などではなく、家と家の関係です。要は「因縁」深い家同士です。
そんな関係まで陥るほど長政と糸の離縁は黒田家と蜂須賀家にとって重要な出来事でした。
普通に考えれば、秀吉の権勢下で地位を築こうとして蜂須賀家から嫁をもらっておきながら、秀吉の死後、糸を離縁して、家康の養女を娶って家康にすり寄っていった黒田家を、蜂須賀家は良く思わないですよね?
実際、関ヶ原合戦後、黒田家は50万石超の大大名へ取り立てられており、面白くないと感じて当たり前と考えられます。
そんな事情があるにも関わらず、大河ドラマでは糸が自ら身をひいて遺恨は残らないかのような描画に無理があるように思えて仕方ない、、、!
そんな馬鹿な!と。
世継ぎ云々ではなく、単純に長政の野心からの判断という事にした方が実情に近いのではないかと予想しますし、かつ、現代の価値観で「子どもが生まないから離婚」なんてナンセンスな展開にしなくて良かったのでは、、、と思う次第です。
なお、黒田官兵衛ならこれ!司馬遼太郎の「播磨灘物語」です!読みふけりました。
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