投資信託の信託報酬が安い事は本当に重要?
最近、投資信託を選ぶ際は「信託報酬が安いものを選ぶように」というアドバイスを目にします。
信託報酬は、投資信託(ファンド)の管理コストです。例えば、信託報酬が1%の場合、投資信託の純資産から毎年1%が管理コスト・運用費として差し引かれます。
#厳密には、信託報酬で設定された割合を365日で割った値を、毎日その日の純資産に乗じた金額が信託報酬として差し引かれていきます。つまり「純資産 × 1% ÷ 365」が毎日差し引かれます。
そして、この信託報酬は、0.5%〜3.0%くらいの幅で設定されているものが多いです。
そのため、信託報酬が1%の場合と3%の場合で「こんなに違う!」と説明するのが、この信託報酬が安い投資信託を選びなさいというアドバイスの流れです。
今、信託報酬が話題になる理由
上述のようなアドバイスをされるのは、一般的に「信託報酬」の仕組みが理解されていなかったり、購入時の手数料ばかり注目されていて運用コストが軽視されている事が多いため、多くの個人投資家にとって「今まで知らなかった投資の重要な情報」を伝えることになる可能性が高いため、取り上げているテーマというだけ、というのが私の見解です。
要は、FPの方なりが営業・集客の訴求内容として「投資信託の信託報酬」をテーマに選んでいるということです。
預金を長期保有の投資へ移行させるための国策であるNISAや、投資信託を自分で選択する確定拠出型年金(401k)の普及に伴い、ほとんど投資経験のない個人投資家が投資信託を購入する機会が増えており、そういった個人投資家を顧客にするためのマーケティングです。
#もちろん、純粋な善意で仰っている方や昔から信託報酬の高さを問題視されていた方も沢山いらっしゃいます。
信託報酬が安い事は本当に重要なのか?
今、信託報酬が話題になる理由は上述の通りですが、では、本当に信託報酬が安いことは重要なのでしょうか?
もちろん、同じ投資信託であれば高いより安い方が良いのは当然です。
ただ、投資信託にも様々な種類のものがあり、その運用実績(パフォーマンス)もバラバラです。
例えば、人気の「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」の信託報酬は年1.62%です。しかしながら、運用実績が良かったため、ここ数年間のパフォーマンスは年率約20%です。
このような運用実績を残している投資信託の場合、信託報酬が年率1%高かったとしても安かったとしても、たいした違いではないのではないでしょうか?
一方、日本株式市場で言えば、この2年間は日経平均が約2倍に跳ね上がっているため、いわゆるインデックスファンドの方が運用実績は良かったのも事実ですので、運用実績が非常に高い投資信託は多いです。
このインデックスファンドの中には信託報酬が年0.3%を切るものも存在するため、信託報酬が安いインデックスファンドを購入した方が得だというお話になります。
ここまで読んで頂ければお分かりだと思いますが、結局、信託報酬が1%違うことよりも、その投資信託の運用実績そのものの方が圧倒的に重要だと言えます。
そもそも運用実績がマイナスになる投資信託では、仮に信託報酬が0%でも無意味です。
信託報酬も留意すべきなものの運用の中身が全て
信託報酬を確認・考慮しなくても良いとは言いません。
特に相場が良くない中で利益を出さなければいけない場合、信託報酬の差で運用利回りがプラスかマイナスかを分ける時も発生し得ます。
ただ、あくまでも投資信託の中身、
・インデックス?アクティブ?
・現物?RIET?債権?
・日本?アメリカ?グローバル?
・為替ヘッジあり?なし?
などの方が運用実績・パフォーマンスへ与える影響は大きいと考えます。
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