ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険は本当に割安感があるのか?

 

日経新聞で「高配当利回り・割安感に投資家需要強く 郵政2社株の価格決定」という記事が出ました。

この記事の要旨は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の売出価格が仮条件の上限で決まった理由として、高い知名度に加え、高配当利回りやPBRベースでの割安感に注目が集まった、という内容です。

そこで改めて「本当に割安感があるのか?」という疑問が残ります。

日経新聞はPBRを用いて「割安感」をアピール

日経新聞の記事では、割安感を示す指標としてPBRを持ち出しています。

具体的には下表の形で、特にゆうちょ銀行は大手三行に比べて配当利回りでも並んでおり、かつPBRが低く割安、というロジックです。

銘柄名 時価総額
(億円)
配当
利回り
PBR
(倍)
ゆうちょ銀行 65,250 3.4% 0.47
三菱UFJ 105,288 2.4% 0.67
三井住友 65,329 3.2% 0.70
みずほ 57,933 3.2% 0.72
かんぽ生命 13,200 2.5% 0.67
第一生命 24,080 1.7% 0.66
T&D 10,341 1.6% 0.73
東証1部平均 1.9% 1.30

 

具体的には、以下の記載があります。

ゆうちょ銀は、株価が割高か割安かをみる投資尺度であるPBR(株価純資産倍率)も大手銀より低い。成長期待より割安感と配当で投資魅力をアピールする。

PBRとは?

そもそもPBRとは、株価純資産倍率と呼ばれる指標です。

計算式は、
・PBR=現在の株価÷BPS(一株あたり純資産)
・PBR=時価総額÷純資産
で示されます。

つまり「時価総額が純資産の何倍か?」を表しており、1.0倍以上であれば純資産以上の価値がある会社、1.0倍未満であれば純資産の価値すらない会社、ということになります。

また、PBRが1.0倍を下回るということは、時価総額がその企業の清算価値を下回るということになり、理論上は、すぐに会社を清算して残った資産を株主に分配することで株主は儲かることになります。

#ただし、重要な点として、ゆうちょ銀行を清算することなど不可能であり、清算価値が時価総額を上回っていても何の意味もない、ということです。

また、金融業界ではPBRが1.0倍を切ることは全く珍しくありません。

そしてPBRという指標はあくまでもB/Sの指標でP/Lを(直接的には)反映していません。稼ぐ力を反映していないと言うことです。

ゆうちょ銀行のPER

ゆうちょ銀行はPBRが低いものの、PER(株価収益率)は俄然、大手三行に比べても高くなっています。

PERの計算式は、
・PER=時価総額÷純利益
です。

つまり「時価総額が純利益の何倍か」を表しています。

PERが高いと今後の企業業績の伸びが期待されていることを指し、逆にPERが低いと今後の企業業績は横ばいまたは下降すると予想されていることを指します。

下表は、先ほどの表の右端にPERを追加した表です。

銘柄名 時価総額
(億円)
配当
利回り
PBR
(倍)
PER
(倍)
ゆうちょ銀行 65,250 3.4% 0.47 17.1
三菱UFJ 105,288 2.4% 0.67 11.1
三井住友 65,329 3.2% 0.70 8.5
みずほ 57,933 3.2% 0.72 9.4
かんぽ生命 13,200 2.5% 0.67 15.9
第一生命 24,080 1.7% 0.66 14.9
T&D 10,341 1.6% 0.73 12.8
東証1部平均 1.9% 1.30 17.1

 

ゆうちょ銀行が突出していることが見て取れます。

金融、特に銀行業はPERもPBRも低くなる傾向がありますが、ゆうちょ銀行は真逆です。

これがP/Lの稼ぐ力を反映した指標での比較です。 

割安感はありますか?

PBRが0.47倍のゆうちょ銀行、すぐに会社を潰して清算可能なら投資額の約2倍が返ってくる計算ですので絶対に買いです。ただ、現実には日本有数の潰せない企業です。

PBRが低いことによる割安感よりも、PERの割高感の方が強く感じてしまいます。

配当利回りが良いといっても、それは安定した配当を出せる=利益を出し続けることが前提であり、この利益と株価の関係を表す指標はPERです。

 

日経新聞の余りにも恣意的な指標の用い方に甚だ疑問を感じます。

なお、IPOの抽選に当選していても購入申込を辞退・キャンセルすることは可能で、証券会社別のペナルティ有無は、Honest IPOの「当選したIPOを辞退・キャンセルした際のペナルティ有無」で紹介されています。

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