日本取引所が超高速取引などの監視体制強化

 

東証や大証の持ち株会社である日本取引所の自主規制法人が、国際審査室を設け、海外投資家の超高速取引/高頻度取引を含むクロスボーダー取引に係る売買審査を行うことが発表されました。

今まで海外勢の取引を審査・監視する専門部署がなかったことに驚きですが、超高速取引/高頻度取引に一定の歯止めがかかると個人投資家としては喜ばしいです。

参考:日本取引所のリリース クロスボーダー取引の監視体制の強化を目的とした「国際審査室」の設置について
参考:日経新聞 海外勢の売買審査 日本取引所が新組織 超高速取引などに対応

超高速取引/高頻度取引とは?

超高速取引/高頻度取引は、ITの進化によって1,000分の1秒単位で注文の処理が可能となったことから、コンピューターによるアルゴリズム取引がほんの1秒間の間に大量の注文を出す取引のことです。
#1,000分の1秒というのは東証の株式売買システム「arrowhead」の処理スペックです

Business Journalの東証が個人投資家を潰す?「高速取引の機関投資家優遇」との不満噴出によると、以下の記載があります。
#HFT=High Frequency Tradeです

「事前にプログラムを組むことで、1秒間に数千回の注文を繰り返して利ザヤを稼ぐ業者」であり、最速で100分の2~3秒かかる個人のインターネット経由の注文に比べて、HFT業者は100万分の15.7秒で注文が出せる。

要は、個人投資家に比して恐ろしく高速に
・株価の情報を入手
・処理
・注文
を行う取引業者のことです。
#かなりざっくりした説明になってしまうため、詳しくは「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」をお読み下さい。

超高速取引は個人投資家の敵?

超高速取引は今や日本でも出来高の多くを占めており、市場に流動性を与えているとも言えます。

ただ、個人投資家にとっては、恐ろしくハンデを負った状態で市場に参加しているというのも事実です。

彼らは、株価や板の情報を1秒かからずに入手し、瞬時に注文を出してしまうのです。個人投資家がPCやスマホで株価や板を更新するリアルタイムとは次元が違います。

よくありませんか?気付いたら一瞬で上げて下げてが行われていたり、一瞬で株価が跳ね上がったり。

人が手作業で出す注文には限界があります。PCやスマホ環境でのデータ通信速度、マシンの処理速度、人の知覚・処理速度、人の操作速度、その全てが重なって、人が一つの注文を出すのに要する時間は長くなり、その間に超高速取引業者は何回も何十回も取引を終えています。

リアルタイムに板を見ながら注文を出しているつもりでも、そこには既にディレイが発生しています。

超高速取引の怖さ

上述の超高速取引業者と個人投資家の格差は「個人的には」まぁ良いやと思っています。秒単位、分単位で取引するデイトレでもない限り、投資としては成り立っているので。(見せ板とかは勘弁して欲しく、ちゃんと取り締まって欲しいですが、、、)

ただ、その余りにも高速な取引は、時として株価(為替取引も)を一瞬にして上下させてしまう事があります。

これが市場を混乱させる大きな元凶の一つとされており、2010年にダウ平均株価が数分間で8%下落した際や、先日、119円前後で推移していたドル円が1,2分で116円まで円高が進んだ際も、この超高速取引が原因と言われています。

超高速取引と証券取引所の蜜月関係

超高速取引を実現させる上で重要な役割を果たしているのが、取引所のコロケーションサービスです。

これは、取引所の売買システムが動いているサーバが置かれているデータセンターの「物理的にすぐ側」にサーバを置くスペースを証券取引所が有料で貸し出すサービスです。

日本取引所ではコネクティビティサービスという名称でWebサイトでも案内されています。
#日本取引所HP:コネクティビティサービス

このスペースにアルゴリズムがプログラミングされた取引システム(が入ったサーバ)を設置することで「東証や大証の売買システム」と「超高速取引業者の取引システム」間のデータ通信速度を大幅に向上させています。

一見小さな事に思えますが、データ通信の速度は物理的距離に大きく影響を受けるため、この恩恵は決して小さくありません。

そして、このコロケーションサービスは「有料」です。取引所はこのサービスを提供することで収入を得ています。

こんな中、日本取引所の自主規制法人がどこまで機能するのか、期待と懐疑的な思いが交錯中です。

 

なお、先述の通り、超高速取引について詳しくは「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」をお読み下さい。

#上述の内容は、国内の機関投資家が大量の保有株を処分する際のアルゴリズム取引や、超高速取引/高頻度取引と証券会社の関係については触れていません。さらに個人投資家のトレーディング環境についても普通の手作業を前提に記載しており、超高速取引と最も差が大きい例を取り上げています。個人ブログですので、その辺りの偏りはご容赦下さい。

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