確定拠出年金は魔法の杖ではない
確定拠出年金に関する法改正もあり、一気にメディア露出度の高まっている確定拠出年金(401k)ですが、確定拠出年金は魔法の杖ではありません。
確定拠出年金には、企業型であれ個人型であれ、確たるメリットが存在します。
ですが、散見するのは「年3%の利回りで運用すると」などの仮定の元、
・利益に対する非課税
・受取時の課税控除
のメリットについて金額が計算され「こんなにお得!」と謳うパターンです。
実際、税制面でのメリットは大きく、上述の通り、利益が出ても非課税ですし、受取時に控除も受られるので非常に節税効果の高い制度です。
確定拠出年金≠金融商品
余りにも当たり前のことですが、確定拠出年金は「金融商品」そのものではありません。
確定拠出年金は、あくまでも「制度」であって、NISAと同じ位置付けです。
ですので、例えば、法改正で2017年から加入可能となる公務員や専業主婦の方が、個人型確定拠出年金に加入するだけでは、何も投資は始まりません。
確定拠出年金に加入した上で「自分で決めた金融商品」に毎月定額の投資を行う事になります。
何が問題か?
みなさん、60歳まで年利3%の運用を「自分で」続けられると思いますか?
もちろん、ターゲットイヤー型と言われる投資信託や、バランス型と言われる投資信託では、投資信託の運用会社が投資商品を適時入れ替えることで運用益を追求してくれます。
ですが、そもそも年利3%以上を20年〜40年近く出し続けているバランス型の投資信託なんて、あるのか?という疑問が残ります。
恐らく、この疑問には「この投信は設定来で見ると年利3%だ」という反証があると思います。
しかしながら、この投信が設定されてから(運用開始されてから)常にプラス続きだったのか?と問えば、恐らく答えは「否」です。
そのため起きる問題は「60歳になった時の市況の良し悪しによって運用実績が決まる」危険性です。
これを回避するには、残り運用期間が短くなってきたタイミングで、運用益を確定させ、債券型投信や定期預金などの元本割れの危険性が低い商品に「自分で」スイッチする必要があります。
もちろん、コンセプトとしては、このスイッチ(ポートフォリオの組み替え)をプロが行うのがターゲットイヤー型投資信託なのですが、ターゲットイヤー型投資信託はターゲットイヤーを10年単位で設定されていることが多く、正直、有効性には疑問が残ります。
確定拠出年金の特殊性
確定拠出年金は「運用終了時期」が決まっているという特殊性から、しっかりと利益を確定させることが重要です。
そして、この利確(利益確定)こそが難しい。
その点を伝えずに先述のような「年3%の利回りで運用すると」などの仮定で話が進む記事を見ると「おいおい・・・」と思ってしまいます。
それが簡単なら苦労しないですし、ゼロ金利政策で各金融機関の運用難なんて話は出ません。
それでも確定拠出年金の節税メリットは凄く大きい!
ここまで確定拠出年金に関してネガティブな内容に思われるかもしれませんが、それでも確定拠出年金の節税メリットは非常に大きいです。
国や金融機関は勧めないと思いますが、ほぼ金利が付かない定期預金に掛金の100%を割り振っても節税効果でプラスになると思います。(掛金が小さ過ぎるとコスト負けしますが)
デメリットや注意点も踏まえた上で、是非、確定拠出年金を積極的に活用していきましょう!
関連記事:
・個人型確定拠出年金の落とし穴(デメリット)
・投資信託の購入手数料をゼロ円にする方法
・小規模企業共済は要注意・デメリットも要検討!
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