クラウド会計ソフトの料金比較 – スタートアップ・ベンチャー向け
スタートアップやベンチャー企業にとって「当然」となった「クラウド会計」ですが、機能やサービスの差が少なくなってきました。
より厳密には「普通の中小企業にとって必須の機能では差が出なくなってきた」という印象です。
そこで今回は「料金」に着目してクラウド会計ソフトを比較してみました。
比較を行うのは
・freee
・MFクラウド会計
・弥生会計 オンライン
の3サービスです。
主要3クラウド会計ソフトの料金比較
クラウド会計ソフトの法人向け料金は、機能やサポートによって2つの料金プランが提供されています。
そこで、
1)ミニマムのプラン
2)フルパッケージのプラン
で比較します。
1)ミニマムのプラン
まずは、法人向けの料金プランの中でも、各サービスの
・機能
・サポート
などが最も制限されており、料金が最も安いミニマムのプランで料金を比較します。
サービス名 | 料金プラン | 月額料金 (税抜) |
一括料金 (一年・税抜) |
1年間の料金 (最安・税抜) |
freee | ライト | 1,980円 | – | 23,760円 |
MFクラウド会計 | ライトプラン | 1,980円 | 21,780円 | 21,780円 |
弥生会計オンライン | セルフプラン | – | 26,000円 | 26,000円 |
・freeeには一括払いの料金プランが存在しない
・弥生会計オンラインは月額のプランが存在しない
ため単純比較が難しいので、一番右の列に「1年間の料金(最安・税抜)」を記載しました。
これは、
・freee:月額料金1,980円×12ヶ月
・MFクラウド会計:一括料金21,780円
・弥生会計オンライン:一括料金26,000円
と、一年間利用した場合の合計料金の内、各プランで最安となるケースで計算しています。
ご覧の通り、大きな違いはありません。
最安のMFクラウド会計と最も高い弥生会計オンラインを比較しても1年間で2,240円(税抜)の違いで、月額換算では約190円の違いです。
*弥生会計オンラインは、サイト上で「税込」の料金表示ですが、freeeとMFクラウド会計が「税抜」表示のため、税抜に計算し直して記載しています
2)フルパッケージのプラン
次に、法人向けの料金プランの中でも、各サービスの
・機能
・サポート
などが全て解放されている充実のフルパッケージのプランで料金を比較してみます。
サービス名 | 料金プラン | 月額料金 (税抜) |
一括料金 (一年・税抜) |
1年間の料金 (最安・税抜) |
freee | ビジネス | 3,980円 | – | 47,760円 |
MFクラウド会計 | ベーシックプラン | 2,980円 | 32,780円 | 32,780円 |
弥生会計オンライン | ベーシックプラン | – | 30,000円 | 30,000円 |
・freeeには一括払いの料金プランが存在しない
・弥生会計オンラインは月額のプランが存在しない
ため単純比較が難しいため、一番右の列に「1年間の料金(最安・税抜)」を記載しました。
この比較では最安が弥生会計オンラインで、最も高いのがfreeeとなり、差額は一年間で17,760円となります。
ただし、この比較は単純比較は難しく、freeeの「ビジネス」プランには、見積書や請求書の作成機能も含まれています。
これは
・MFクラウドの場合は「MFクラウド請求書」
・弥生会計の場合は「MISOCA」
が該当します。
クラウド型の請求書サービスは、請求書の郵送サービスも付いている場合が多く、この郵送サービスの単価等によって利用料金が大きく変化するため単純比較は難しいサービスです。
なお、MFクラウド会計には「バリューパック」というプランが存在し、こちらは
・請求書
・給与計算
・経費精算
などのサービスも内包したプランで「月額3,980円〜」です。
*「3,980円〜」となるのは、給与計算や経費精算では従量課金になるためです。
*弥生会計オンラインは、サイト上で「税込」の料金表示ですが、freeeとMFクラウド会計が「税抜」表示のため、税抜に計算し直して記載しています
スタートアップ・ベンチャーにオススメのクラウド会計ソフトは?
スタートアップ・ベンチャーにオススメのクラウド会計ソフトを絞るには、前提の整理が必要です。
つまり「誰が日々の会計処理を行うのか?」です。これによってオススメのクラウド会計ソフトもプランも変わります。
大きく分けると以下の2パターンです。
1)税理士や会計事務所に丸投げの場合
2)社長や創業メンバーが会計処理を行う場合
1)税理士や会計事務所に丸投げの場合
会計処理を税理士や会計事務所に丸投げしている場合、基本的には「最も安いプラン」で構いません。
理由は、クラウド会計ソフトの料金に含まれている「電話やメール、チャットでのサポート」が不要なためです。
税理士や会計事務所は、各ソフトに対して相応の知識はありますし、各社の認定パートナーになっている場合など、独自のルートを持っています。
従って「誰も利用しないサポート」のために費用を支払う必要がありません。
そのため最安プランで問題ありません。
最安という観点では、MFクラウド会計のライトプランがオススメです。
将来的に給与計算(MFクラウド給与)なども利用し、データ連携させる事も可能です。
また、freeeよりも税理士や会計事務所が慣れやすい会計ソフトでもあるので、対応可能な税理士や会計事務所も多いのではないかと思います。
2)社長や創業メンバーが会計処理を行う場合
社長や創業メンバーが会計処理を行う場合は、少々複雑です。
それは「サポートを利用する可能性の有無」によって適切なプランが変わってしまうためです。
例えば、スタートアップの場合、一番最初に必要になる創業費や開業日の仕訳を登録出来るか?創業費も開業日も「任意償却」という特殊な減価償却が可能な固定資産です。
この辺りの事を自分で調べながらでも処理可能なら、サポートは不要ですので最安プランです。
しかしながら、仕訳について、または任意償却の設定方法等についてサポートが必要となると、サポート付きのプランになります。
仕訳の相談まで可能なクラウド会計ソフトなら「弥生会計 オンライン」の「ベーシックプラン」がオススメです。
ただし、社長や創業メンバーが会計処理を行う場合でも、顧問税理士がいて難しい処理は質問可能な状態であれば、やはり最安プランで問題ありません。
クラウド会計ソフトの料金比較のまとめ
最初に記載しまいたが、スタートアップやベンチャー企業にとっては、クラウド会計ソフトの機能やサービスの差が少なくなってきました。
その中での選ぶ基準としては「サポートが必要か?」という視点です。
サポートが不要であれば、純粋に料金が最も安く押さえられるサービス・料金プランとしてMFクラウド会計のライトプランがオススメですし、サポートが必要なら仕訳相談まで可能な「弥生会計 オンライン」がオススメです。
また、利用者数が多い「freee」もネットで情報が豊富という意味ではオススメです。
関連記事:
・法人設立の手順 – 実体験から実践的ポイントを紹介
・住信SBIネット銀行で法人口座を開設する場合は必要書類に注意が必要
・法人向けクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」が登場!
・会計ソフトと支払調書の源泉徴収税額に差異がある確定申告
関連記事
-
-
税制適格ストックオプションの譲渡禁止の矛盾
ストックオプション(新株予約権)には、税務上有利になる「税制適格」というものがあ …
-
-
個人事業主から会社員に戻っても小規模企業共済には加入し続けられる!
個人事業主にとって、 ・節税 ・年金や退職金代わり の仕組みとして「小規模企業共 …
-
-
オフィスの家賃交渉は誰が担当?
オフィス移転の際、オフィスを探す担当者が社内で指名されることは一般的です。普通で …
-
-
開業費の貸方に事業主借を選択出来ない – やよいの青色申告オンライン
個人事業主の開業費を繰延資産(固定資産)に計上するにあたり、「やよいの青色申告オ …
-
-
個人事業主・フリーランスの税務調査
確定申告の時期がやってまいりました。 今年が確定申告、初めての方も複数回目の方も …